市立青い空学園2

保健室編

「で、なんでかすり傷程度ですんでるんですかね」

知らねえよと答えたのは白いベッドに横たわっている黒猫である。所々白くなっているが、それは包帯を巻いているからだ。

今、彼等がいるのは大きさも備品も普通の保健室である。

先程起きた襲撃事件の犯人を捕まえる為にクラスメイト達は校庭に行き、そこで学ランを着た黒猫を捕獲。保健室に運んだのだ。しかし―

「どうして正統なる後継者たる俺が革ベルトで縛られてるんだ?包帯はわかるけどよ」

「まあ話し聞きたいしね」

「私は猫触れればそれで良いよー」

頬を赤らめてハアハア言っている山田を横目で見つつ、佐藤は親指で後ろのドアを指差す。

「もうすぐ保健担当の先生が来る。とりあえず美人だからそこは期待していいぞ、解剖大好きっ娘だが」

「おい待ってくれ!今聞き捨てならない言葉が!」

「…なんでわかる。確かに娘なんて年じゃないなあれは、確か今年で3―」

何か言おうとした佐藤の頭が前後にブレ、そのままベッドに倒れる。

「女性の歳を言うのは駄目なんだよ?」

拳を摩りながら佐藤を見下ろす山田を見て猫田は頭を振る。キツツキを連想させる速度で。

その時、背後のドアが開く音がした。

「なんだか楽しそうね」
そう言いながらこちらに歩いてくる―

「男?!」

猫田の前に現れたのはガタイの良い、真っ赤な唇とアイシャドウを付けたアッチ系の人である。

「松林先生、彼が怪我人です」

松林はベッドに突っ伏す佐藤と革ベルトに縛られている猫田を見て、

「ああんもう今日はツイてるわ!まさか朝からこんな可愛いのを独り占めなんてもう私のヤル気はビンビンよー!もう任せなさい!私の自慢の硬くてブッ太いのを差し込んであげるわ!」

ひっ、と小さな叫び声をあげ、猫田はなんとか逃げようともがくが、革ベルトは緩む事なく、その身体を縛り付ける。

松林は未だにベッドに突っ伏す佐藤を指差す。

「この子はどうしたの?」

「先生の年齢をバラそうてした極悪人です!」

左手で拳を握りつつ右手で猫田のお腹を撫でる山田。
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