デスゲーム
冷静と焦燥のあいだ
警察官だ
…
警察官がいる
それも2人
…
…
まるで
待ち構えていたかのように
ATMを出た僕の
視線の先に飛び込んできたのは
制服をビシッと着た
2人の警察官の姿だった…
…
…
…
ぼくは焦った
何か不審な動きを
してしまったのか?
確かに、不審だったかもしれない
防犯カメラには
ハッキリと
ぼくの焦りが
映っていたことだろう
だが、待て
落ち着け!
…
…
そもそも、ぼくは
何も悪いことは
していない
…
送られてきた
メールに書かれた
番号に電話したら
向こうが勝手に
振り込みしてきた
だけだ。
そうだ、
冷静になれ。
…
だいたい
幾ら何でも
警察官が来るなんて
早すぎる
それに
心の動揺なんて
防犯カメラの
映像なら
そんなに
傍目には
変化ないだろう
…
大丈夫だ
ぼくは
犯罪者じゃない
落ち着け
落ち着け。
…
…
…
ぼくは
自分に言い聞かせるように
冷静と焦燥のあいだの心の揺れを
押さえこんだ
…
…
そして
普通の早さで
よそ見をしながら
警察官たちの
前を通り過ぎようとした
…
だが
普通を装って
歩こうとすると
余計に意識して
しまう
そもそも
よそ見をして
警察官の前を通り過ぎようとするなんて
逆に怪しく思われないか?
下か?!
上か!?
まっすぐか?!
…
どう歩けば
警察に怪しまれないで済むんだ?!
誰か教えてくれ!
誰…!!!!!
警察官と目が…
…
合ってしまった…
(続く)