委員長が泣いた日(短編)
「っ」
声にならない嗚咽と体の震え。
いつの間にか委員長の体は離れていた。
「ごめんっ」
ブアアァァと顔を赤くする委員長。その表情は情けなくてそれを見るだけで今の出来事の私の中にあった“怒り”という文字は消え失せた。
「俺、夢中で、アンタが欲しくて」
すっごいこと言ってるよー、なんて言いたくなる委員長は見る度顔を赤めていく。
「今度はね、嫌だった。不思議だよね。キスの違いで感情も大分変わる」
背中についたかもしれない黒板の汚れを叩こうとしたけれど、流石に手は回らず
それを見かねた委員長が背中をポンポンとはたいてくれた。
委員長に背を向けた事で一気に不安になる。
あの情けない表情見てないと精神が安定しないらしい。