委員長が泣いた日(短編)
「頂戴アンタを」
「な、んで」
情けない委員長はどこへやら。やっと出た声も震えていて、今度は私が情けない。
「俺の泣き顔笑った罰」
そんな、と思うだけで声にはならない。
「…………いいよ。わかった」
だってそれならしょうがないでしょう?と誰かに尋ねて委員長の私を抱き締める腕に手を添えた。
「本気で言ってる?」
「私はいつだって全身全霊で本気」
はっはっは。と笑って欲しかったのに、返答はない。言葉のキャッチボールが苦手ですかあなた。
「じゃあ貰うからね。アンタの全部」
「?うん」
さっきから委員長が“貰う”とか言ってるけど、どういう意味なんだろうか
よくわからないまま首を傾げる私から委員長の手が離れていく。
「もう嫌じゃないってことだよね」