委員長が泣いた日(短編)
「本当にやるよ?いいの?」
委員長の手が止まって、チャンスとばかりに体を委員長の方に向けた。
「何するの?」
「・・・・・・・・え?」
目を見開いた委員長。完璧主義者の顔が崩れる瞬間の目撃者となってしまった。
「わかってなかったの?」
「……うん」
えへへと頭をかくと、委員長が頭から私の胸元に項垂れてきた。
「お預けってこと……ね」
「へ!?どうしたの委員長!?」
あわあわ慌てると委員長が、盛大なため息をついた後、顔を上げていつもの苦笑を浮かべた。
「俺は委員長じゃなくて桧山だから桧山良太郎」
「なっ、なら私はアンタじゃなくて佐倉和花だよ」
言いあった後、顔を見合わせて笑い合った。
「……ゆっくりちょっとずつ貰うか」
「へ?」
何か呟いた委員長に首を傾げると委員長は「いいから」と私の唇に触れるだけのキスをした。