委員長が泣いた日(短編)


「本当にやるよ?いいの?」
委員長の手が止まって、チャンスとばかりに体を委員長の方に向けた。

「何するの?」

「・・・・・・・・え?」


目を見開いた委員長。完璧主義者の顔が崩れる瞬間の目撃者となってしまった。

「わかってなかったの?」

「……うん」


えへへと頭をかくと、委員長が頭から私の胸元に項垂れてきた。


「お預けってこと……ね」

「へ!?どうしたの委員長!?」

あわあわ慌てると委員長が、盛大なため息をついた後、顔を上げていつもの苦笑を浮かべた。


「俺は委員長じゃなくて桧山だから桧山良太郎」

「なっ、なら私はアンタじゃなくて佐倉和花だよ」


言いあった後、顔を見合わせて笑い合った。

「……ゆっくりちょっとずつ貰うか」

「へ?」


何か呟いた委員長に首を傾げると委員長は「いいから」と私の唇に触れるだけのキスをした。






< 20 / 22 >

この作品をシェア

pagetop