委員長が泣いた日(短編)


プニッと黒板消しクリーナーの停止ボタンを押すと、一気に周りの音が私の耳に戻ってきた。

「おい」


クラス階ではあるものの、一番近くにある教室も少し離れた場所で、蛍光灯もない暗い私がいるスペースには、多分私以外はいないはず。

声が聞こえたのはきっと気のせいだろうと振り返った。


「・・・きゃあ!!っはっはっはっはっはっはっは」



不思議と笑いが込み上げる。
誰も居ないと思って振り返って人がいたからお化けかと思った。



でも、そう。沸き上がるのは笑い

なぜならそこにいたのは目を真っ赤にさせた委員長である彼、桧山良太郎だったから。


「何で笑うんだよ」

「くっはっはっ、御免御免」


委員長は私を見下ろして、それからバッと腕を掴んで引っ張るように私を連れて歩き出した。





< 7 / 22 >

この作品をシェア

pagetop