委員長が泣いた日(短編)
帰ってしまった相方の日直を恨みながら教卓に日誌を置いてページを開く。
ペンを走らせながら几帳面に机に手をかける委員長を盗み見た。
目はまだ赤く、少ししょんぼりしていて、苛ついているようにも見える。
「御免、すぐ終わらせるから」
何だか委員長を足止めしてる気がして急いでペンを走らせると、委員長は私を見て、教卓の前の机のズレを直した。
「いい。ゆっくりで」
ペンを止めて顔を上げる。教卓越しではあるが委員長と向き合ってしまった。
「なんで?」
声が上擦りそうで怖い
「こんな顔で帰ったら絶対兄貴に笑われる」
「いやもう私は大爆笑だよ」
委員長は目を細めてどこか苦々しくムッとした。
「皆腫れ物のように慰めてくれたのにアンタは確かに大爆笑だったな」
「だって面白かったんだ」