†声優アイドルの男子高校生†【3】
その時、大森さんだけが俺のそばに戻ってきた。



「やっぱ、無理なんだけど」



美奈子には、なんとなく聞かれたくない本音・・・・・・



「翔くん、楽しみなさい。どんなことが起きても、楽しんでいれば、すべてうまくいくものよ」



大森さんが、目を見ながら言ってきた。


ああ、なるほど



この人は、ほんとにそうしてんだ。


納得。


けどさ。


そのやり方


楽しむ方法


今、俺は思い出せそうにない。


え?


楽しむってなんだよ・・・・・・


どうやって?




冷や汗に近いものが、出そうで

気分を変えるために、俺は後ろをのぞいた。



目に入る


後ろの防音室。


ガラスの向こう側。

あきらかにさっきより、ばたばたして慌ただしそうだった。



なんだ?




俺は、外につながる重々しい感じの分厚い
灰色のドアをあけた。


男の力なら、片手であけられるものも

“美奈子”なら、両手であけなければならないのが不便だ。



「どうだ!?
 なんで、涼役が、きてないんだ?!」



ディレクターらしき人が、
周りに指示するように叫んでいた。






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