彼女は悪魔
強い風が弱まらずに急に止んだ。


目を開けると、さっきと変わらない風景が目に映った。

ただ、

あの親子の姿はどこにもなかった。

青空はそれに気づくと、

よく分からない胸騒ぎを感じた。

「あの…っ」


「なんだ。」

彼女はいつのまにか青空の隣にいた。

「あのお母さんとゆいちゃんは…?」


「存在が、消えた。」


「どういう・・・?」


「お前の死がなくなったんだ。

命の代償は命。

お前の代わりに死んだ。


ただ、それだけだ。」



「……」







冷たく言い捨てる、

その少女は悪魔―――

死の海から逃げ出したって

一人の人間の命を救ったって


彼女は 悪魔――


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