彼女は悪魔
玄関の前までくると、青空の小さな怒りはやみ、

かわりにある疑問が出てきた。

「もしかして、一緒に暮らすんですか?!」

「暮らす、というより、いるだけかな。」

「どういうことですか?」

「俺らは食ったり寝たりしなくても生きられるから。」

「へぇ〜。それって…」


ガチャ


玄関が内側から開き、青空より4歳年上の姉、優姫(ゆうき)が出てきた。

「青空!いつもより遅いから心配したじゃない。」

「うん。今、この人が…

あ、名前聞いてなかった。
なんていうんですか?」

青年が何か言おうとしたのに優姫がさえぎった。

「変なこと言わないでよ…気持ち悪い。」

優姫は腕を組んで辺りを見まわした。

「何言ってんの?失礼じゃん。ぜんぜん綺麗だし!」

青空の言葉に優姫が顔をしかめた。

「意味わかんない。なんかあったの?」

優姫の質問に答えようとすると、青年の大きくて冷たい手が覆いかぶさった。

「これ以上言うな。話しがややこしくなるし、

この人に俺の存在は認識できてない。」

青空は青年の話に耳をかさず、手をどかそうとしていた。
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