彼女は悪魔
どこに目をやっても、さっきまで見えていたものは何ひとつ無く、

いつのまにか自分の部屋にきていた。

ぐるぐると部屋中歩き回り、

自分の部屋であることを確認すると

倒れるように座り込んだ。

青年は何も言わずに青空の様子を、

頬杖をついて眺めていたが、

青空の動きが止まると失笑した。

「何なんですか…?」

「別にー人間って面白いなあっと思って。」

「ぜんっぜん面白くないです。

…何ですか、これ?魔法?」

「俺らが使えるこの力は、主への忠誠の形。

忠誠が強い者ほど、大きな力を持つ。

主がいない間は使うことすら出来ない。」

「…あれ?じゃあ、あなたにも主がいるんですか?」

「ア……」

青年は青空が驚いた時のように口をあけたまま固まった。

青空は青年がうろたえるのを見て、笑顔で青年の方に近づいた。

「あ!なんか、聞いちゃいけない感じのことでした?」

「ああ。…お前みたいなガキが聞いて面白いような話じゃねぇよ。」

急に、暗い顔をして立ち上がり、

机の横のベランダにつながる大きな窓を開けた。

「あの……ごめんなさい。」

すると、青空に背を向けた青年の肩が小さく震えた。


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