彼女は悪魔


月日が経ち、彼女は叫ぶ声に反応しなくなった。



「――――!!」



耳を裂くような叫び声――



彼女は足を抱えて座り込み、遠くを見つめる。




ザァ――ザァ――



波打つ黒い海




「おい」

黒い翼が焦りの混じった声をあげた。

「…なんだ」

彼女がうっとうしそうにうなった。

「何か来たぞ」

「そんなの毎日…」

「行け。向こうだ。」

右の翼がひらく。


眉間にしわを寄せながらも、

彼女は黒い翼の指した方向へ行った。
< 3 / 73 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop