彼女は悪魔
月日が経ち、彼女は叫ぶ声に反応しなくなった。
「――――!!」
耳を裂くような叫び声――
彼女は足を抱えて座り込み、遠くを見つめる。
ザァ――ザァ――
波打つ黒い海
「おい」
黒い翼が焦りの混じった声をあげた。
「…なんだ」
彼女がうっとうしそうにうなった。
「何か来たぞ」
「そんなの毎日…」
「行け。向こうだ。」
右の翼がひらく。
眉間にしわを寄せながらも、
彼女は黒い翼の指した方向へ行った。