彼女は悪魔
キーンコーンカーンコーン…

目を開けたばかりの青空の耳に

聞き慣れたチャイムがぼんやり聞こえた。

「起きたか。」

「ん…」

彼女は青空に背を向けて、窓の外を見ていた。

「えっと…その…」

青空はゆっくり体を起こした。

「…ごめん」

「周りの人間はケガですんでも、お前は死ぬんだからな。」

「ごめん…」

彼女は窓のほうを向いたまま、動かなくなってしまった。

また、居心地が悪くなる青空。

「ん…と、そういえば助けてくれてありがとう。」

「うるさい。ただの義務だ。」

「……」


また沈黙。


「えーと…何で腕通さないの?それ。」

『笑顔』を意識しながら、尋ねた。

それ、というのは彼女のコート。

いつもはきっちり着ているのに、

今は腕を通さず肩にかけているだけだった。

「何が」

不機嫌そうに振り向く。

「何がって、うーん何でかなって」

「それより」

彼女はゆっくり近づいた。

「お前、自分に何が起きたか覚えてるか?」

「…学校来てー階段登ってー教室ー…教室?」

「チッ 消しすぎた。」

「何を?!」

「気にするな。」
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