彼女は悪魔
6.目に映る真っ暗
「。。。」
伶美は鏡の前に立っていた。
何をしているのかは、よく分からない。
翼は、青空が起きる時刻の1時間前に戻って来た。
青空が壊れてないか、「心配」していたのだ。
だが、
不審な行動をとったまま動かない伶美を窓越しに見つけ、
入っていっていいのか迷い続けている。
ほんの少し、いや、だいぶ遠くの雲の中で。
近付けば分かるかもしれないが、
これ以上近づくと伶美に気づかれる。
「うーん……」
いくら唸っても返事はこない。
「おは…よ…?…」
なんだろうこれは。
何があったんだろうこれは。
この
伶美の表情は。
青空の中で、
同じ疑問がでてきては消えて行く。
ベッドに腰掛け青空の方に向けた伶美の顔。
目が少しも笑ってない笑顔。
口元だけの自然な笑顔。
普通の笑顔なら良いというわけではない。
・・
伶美が笑っている。
ということが異常事態なのだ。
「具合、悪い…の?…かな。」
その瞬間、伶美の口元が一の字になる。
「何故そうなる。」
「あ…いや…ごめん。うん。何でもないっ」
さっと布団をはいで、ぴょんとベッドをおりる。
せかせかとタンスから制服を取り出し、着替えはじめた。