彼女は悪魔
「何がヤなの?」
「…っ!うわあっ!」
真っ白な壁からするりと入ってきたのは、もちろん翼。
バクバクと鳴る心臓の音を遠くに聞きながら
青空は口をパクパクとさせる。
「ただいま。」
ニコッ。
『なにがっ…』
青空と伶美の二人の声が重なり、不満をぶちまける。
「いつからいないんですか!?
この感じがどんなにきついと思ってんですか!?
慣れてんのかもしんないですけど!
きついんですよ?!」
「何度言やーわかるんだてメーは!?
勝手にいなくなんな!
お前に言われてきてんだから
お前がコイツの面倒みろよ!」
「おぉ〜息ピッタリ〜
言葉の数違うのに切れるタイミング一緒ってすごいネ。
何気に気が合うとか?」
二人の方から妙な空気が…
「はい、はい、はい。
落ち着けって。
とりあえず下がろうかー?
ちけーちけー」
半泣きで怒る青空と、また不良っぽくなってる伶美を椅子に戻した。
椅子の上でひざを抱えた青空と
脚組んで腕組んでる伶美から
鋭さは違うがイタイ視線が翼に刺さっている。
へらへらしている翼が始めた。
「とりあえずーまあ、悪かったな!」
また二人の方から妙な空気が…
「で、青空のはまあ可愛らしい感じに怒ってますがー、
お前のは俺の責任じゃないから〜
ついでに君らの言ってることはー
俺には関係ないっしょ。
きいてりゃなんだ。
2人がお互いに嫌がってるだけじゃん?」
2人の間で翼の言葉がゆっくりと歩きまわる。
青空の視線はそっと伶美をなでたが、
伶美はピクリとも動かなかった。