彼女は悪魔
しばらくの間沈黙が居座った。
青空が何か言いたげに揺れ、
「翼さんや伶美とどのくらい一緒にいるんですか」
「ずっとだよ。お前の命が尽きるまで。」
青空の口がまたパクリと開く。
友達が泊まりに来た、
それくらいの感覚で二人を受け入れていた青空にとって
翼の言葉は小さくない衝撃だった。
「なんか…」
徐々に暗い顔になりつつある青空が続けた。
「…やっぱまだわかんないんですよねー」
口調は突然明るい調子に。
「よくわかんないことに巻き込まれて、
何にも解んないまま2人と一緒になって、
いっぱいいっぱいいつもと違って、
なのに、周りはどこも変わらなくって。」
目が、潤んでいるように見える。
「青空。」
優しげに声が響き、ビクリと肩が震えた。
ぱちぱちと瞬きをする青空は天井を見上げ、
頭を下ろした時には涙が落ちた。
ごまかすように笑い声がもれる。
「意味わかんないですよねー」
そう言う間も悲しみがこぼれ、右手はゴシゴシとそれを拭う。
「ホントに、意味わかんない…」
伝わりあってはいないが、2人の声がお互いの中で響く。