彼女は悪魔
ある日突然、彼女は少女の前から消えた。
一日目はそんなこともあるのだろうと思い、
すぐに帰った。
二日目も三日目もすぐに帰った。
彼女の姿を見なくなってから五日が経ったその日
白い翼はもう待ちきれなかった。
「今日は探してみてはいかがですか?」
あくまで平然と、にこやかにたたみかける。
「別にいい。」
「何かあったのかもしれませんよ。」
来た方向に戻ろうとする少女の前に立ち塞がる。
「どうして?」
「五日もいないんですよ?
――海で溺れたのかも。」
揺れ動きだした少女の心を
『あの海』へと向けさせる。
「『オボレタ』って何?」
不安が浮かびだす幼い顔に、
『その時』が近づいているのを確信する。
「――…とっても苦しいことですよ。」
「……」
口の端がつりあがるのを必死にこらえ
――アアアアアア!!!!――
闇の中を走りぬける甲高い叫び声。
少女は驚き、肩を震わせ、
声の聞こえた方向を向く。
そこにあるのは
もがき苦しむイキモノの影
白い翼は、胸が高鳴るのを感じながら
少女の耳元で囁く
「助けに行かなくていいんですか?」
その瞬間、少女はイキモノの影へ走り出した。
バシャアッザブッバシャアッ
少女は走った。
黒い海の中を、真っ黒な水しぶきをあげて。
パシッ
少女がつかんだのは、
醜い魂
一日目はそんなこともあるのだろうと思い、
すぐに帰った。
二日目も三日目もすぐに帰った。
彼女の姿を見なくなってから五日が経ったその日
白い翼はもう待ちきれなかった。
「今日は探してみてはいかがですか?」
あくまで平然と、にこやかにたたみかける。
「別にいい。」
「何かあったのかもしれませんよ。」
来た方向に戻ろうとする少女の前に立ち塞がる。
「どうして?」
「五日もいないんですよ?
――海で溺れたのかも。」
揺れ動きだした少女の心を
『あの海』へと向けさせる。
「『オボレタ』って何?」
不安が浮かびだす幼い顔に、
『その時』が近づいているのを確信する。
「――…とっても苦しいことですよ。」
「……」
口の端がつりあがるのを必死にこらえ
――アアアアアア!!!!――
闇の中を走りぬける甲高い叫び声。
少女は驚き、肩を震わせ、
声の聞こえた方向を向く。
そこにあるのは
もがき苦しむイキモノの影
白い翼は、胸が高鳴るのを感じながら
少女の耳元で囁く
「助けに行かなくていいんですか?」
その瞬間、少女はイキモノの影へ走り出した。
バシャアッザブッバシャアッ
少女は走った。
黒い海の中を、真っ黒な水しぶきをあげて。
パシッ
少女がつかんだのは、
醜い魂