彼女は悪魔
「やめろ―――!!」



その叫び声の向こうに
『彼女』がいた

ハナセ、唇が大きく動く。

少女はそのイキモノが
『彼女』ではないことを知り

ほっとしたように笑った。


ザパアッ



――『その時』がやってきた



少女と醜い魂に海が襲い掛かる。


パシャ




彼女がつかんだのは

また



水だった。



唇がかすかに震え、

細い腕が水面を叩く。

何度も何度も水をかく。

何も意味がないことくらい


分かっている
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