COLORS【茶】怪盗バレン─恋のSPY─
「……何を考えているんですかね?怪盗バレンは」

ってその正体が俺だなんて、死んでも言えないケド。

「すごく分かりやすいってことじゃない」

「分かりやすい?」

こんな文、普通に俺だったらまず引くな。第一、キザすぎだつ──の。

「ほら」

ハート型の指輪……?

「『ハート』って指輪のことだったんですか?!」

「少なくとも、私はそう解釈しているわ。それ以外にあって?」

箱入りのお嬢様には、それ以外の解釈は伝えない方がいいのかも。

「私もそう思います。梨里華様、これだけは信じて下さい。怪盗バレンはあなたの味方ですから……」

「えっ?」

「あ、いや──その、えっと、きっとバレンがここに居たらそう言うかなって思っただけです」

「そうね、私もそんな気がしているわ」

俺は指輪を盗むと言う、本来の目的を見失いそうになっていた。
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