COLORS【茶】怪盗バレン─恋のSPY─
朝の仕事を終え、自分の部屋(使用人室)に戻ってくると、



トゥルルルル……。



タイミングよく俺の携帯が鳴った。

『着信 千夜』


「もしもし」

声のトーンは自然と低く、不機嫌さな感情がむき出しになっていた。

『あ、お兄ちゃん!そっちはどう?』

「最悪……ってかお前なぁ〜!あれは何だ?!」

『あれ??』

本当に知らないのか忘れたフリをしているのか、俺にはどっちなのかはすぐに分かった。

「──予告状。トボけたって無駄だからな!」

『あ──、怒ってるの?』

「当たり前だ!!あんな誤解されるような書き方しやがって」

『誤解?それを言うならロマンチックな表現って言ってよね〜どう?昔のトレンディードラマっぽくしてみたんだけど、なかなかイケてたでしょ』

「ば〜か!余計なことをするな」

『そんなに怒ることないでしょ!たかが予告状くらいで……。こっちだって亜実さんの誤解を解くのにどれほど苦労したことか……。そうだ!お兄ちゃん!!とっておきの情報!』

「何だよ」

『明日の警備体制のデーターを入手したの!端末に転送するね!じゃ!』

「おい!!待てよ」


ツーツー……。


ったく!場が悪くなるとすぐ逃げやがって!

俺は携帯の画面を閉じると、無造作に放り投げた。


「警備体制のデーター……か」


いつものように千夜が警視庁のパソコンをハッキングしたんだろう。

はぁぁぁ……。

気分が乗らないのは気のせいではないみたいだ。
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