COLORS【茶】怪盗バレン─恋のSPY─
「空から見る街の様子はどうですか?」

見渡す限りの真っ黒な闇に、街の明かりが転々と見える。

「とても綺麗」

「初めてみる外の世界が空っていうのはいささか贅沢──いや、お嬢様にはぴったりです」

「……そういうものかしらね。でも不思議ね」

「?」

「あなたと今日、初めて会ったのに前から知っているような、そんな気がしてるの」

ぎくっ……。

「そ、それは気のせいでしょう。アハハ」

笑ってもごまかしきれない。

「あなたは悪人には思えないもの。サングラスの下のあなたの素顔は──」

ま、マズイ。
ここで正体がバレるわけにはいかないっ。
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