【短編】優しさなんていらないの
学校へ着くと、あたしは春のクラスへと向った。
まずはごめんなさい!だよね!!
その後に……このチョコを。
覚悟を決めて廊下を曲がった時だった。
あ……。
春の教室の前で、春と3年の女の先輩が話している。
「これ……チョコなんだけど。受け取って!!」
あの人……。
前に一緒に春と学校着てた人だ。
ドクン。て胸が痛くなる。
胸が苦しくなる。
覚悟はしてたけど……。
やっぱり春は、受け取るよね。
あんな綺麗な人に好き。なんて言われたら……。
あたしは背を向けて走った。
やっぱ……あたしじゃ駄目なのかな。
不安で仕方ない。
自信がなくて、春の前に行けない。
ただただ走って昇降口で立ち止まった。
すると丁度登校してきた亘が下駄箱に靴を入れている。
「あ……」
そう亘の口から声が漏れる。
何で……タイミング悪。
何で今会っちゃうんだろう。
そう思って俯いていると、亘はあたしの前に来た。
それに気付いて顔を上げると、亘はあたしを見下ろしている。
また澄んだ目……。
あたしは目が逸らせない。
すると亘は小さく……でも強く言った。
「……おれと付き合ってくれ」
「え?」
「前にも言ったけど……おれはお前を不安にさせないから」