【短編】優しさなんていらないの



そう言ってギュッと春の制服を掴んだ。
すると後頭部に手を添えた春があたしのおでこに自分のおでこをくっつけた。


「言っておくけど……俺」


「え?」


「俺、今年はチョコ誰からも受け取ってないよ」


「え?」


受け取ってない?
え、だって……。
さっき先輩から貰って……。


「うん。断った」


断っ……た?


「俺が欲しいのは、柚未のチョコだけ」


そう言ってあたしの髪に指を絡める。
そして優しく微笑んだ。


「柚未から貰ったチョコだけ特別だよ?」


……春。


今キュンってなったよ。
心奪われたよ。
すっごい抱きしめたいよ。


あたしはバッと春に抱きついた。


「春ぅー大好きぃ」


「うん。俺も柚未が大好き」


そう言って春がぎゅぅってしてくれた。


あたしは春が好き。
春が大好き。
誰にでも優しい、でも。
あたしにだけ特別をくれる春が大好きです。
優しい春が……大大だぁい好きなの!!



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