【短編】優しさなんていらないの
高2になって3年になった春に勇気を出して告白してみれば、優しく微笑んで。
「喜んで」
って、夢かと思ったよ。
最初は憧れの人と付き合えるってそれだけで満足だったけど。
今ではその好きだった優しさに不満。
だって……誰にでも優しいんだもん。
春は。
あたしホントに彼女なのかなぁー。とか。
ホントにあたしの事好きで付き合ってくれたのかなぁー。とか。
最近じゃ。
春は優しいから好きでもないけどあたしと付き合ってくれてるんじゃないかなって思う。
「はぁ……」
大きな溜め息をついてあたしは机に頬杖をついた。
すると教室から見える校門に春の姿を見つめた。
周りには親しく話している3年の女子数名。
まただよ。
癒し系で優しいから。
ああやって女子と一緒に来る事も多い。
春~。
何考えてんのよ、もう。
あたしは上から春を睨んだ。
すると春はその視線に気付いたのか……。
上を見上げてあたしを見つけると、フッと可愛らしい笑顔を浮かべた。
「柚未~おはよう」
そう大声で言って手を振ってくる。
するとそれに気付いて3年の女子は見上げてあたしを睨む。
あ、ははは……。
「おはよ……」
あたしは苦笑いで小さく手を振って見せた。
すると満足そうに微笑む春。
……隣にいるお姉様方の不機嫌さに気付いてないのかな。
あたしは顔を引きつらせながら春を見ると、嬉しそう。
……気付いて、ないんだ、ね。