【短編】優しさなんていらないの
放課後。
あたしは、春からの連絡を待った。
授業中春からメールが着て読んでみると、委員会があって少し遅くなるらしい。
だからあたしは教室で1人待っていた。
……まだかな。
ボーっとしていると、傾いてきた太陽の光が教室の中へ差し込む。
オレンジ色になった景色を見つめていると、教室の扉が開く。
ん?
扉が開く音に反応して扉を見ると、亘が立っている。
……げ。
あたしは少しムッとする。
するとそんなあたしを見た亘は無表情であたしを見下ろす。
「……帰ったんじゃなかったの?」
そう聞くと、亘は無表情のまま口を開いた。
「……ん」
口数少なぁ……。
そう思いながらあたしは頬杖をついて視線を逸らした。
「ふぅん……」
その後亘は口を開かない。
あたしも何を話すべきか分からず無言。
だって亘との共通の話題なんてないし。
そう思っていると、亘が沈黙を破った。
「あのさ……」
「え?」
突然口を開いて、あたしが亘の方に向くと、亘はまた黙った。
……何なのよ?
声かけてきたくせに……。
少しムッとしていると、亘は重い口を開いた。
「先輩と順調なの?」
え……。