王子様なんてキョーミナイシ
悲しい
―ガタン
家に入った途端に、涙が溢れ出て来た。
…私…可愛げの無い女?
『可愛げないね』
『可愛げないな』
過去に言われた、この台詞を思い出す。
私とお母さんを捨てていったお父さんと、一度つきあっていた、陸って男子に言われた言葉。
妙に、その時違和感が無かったのは、私自身も分かっていたからなのかもしれない。
それでも、悲しかった。
「可愛げ…欲しいな」
ぼそりと呟いた言葉に、誰も返事してくれる事は無かった。
「何よ!!あっちだって、可愛げ無いんだから、お相子よ〜だ!」
ぺしぺしと頬を叩いて、自分に納得させた。
そうよ!お相子よ!!
私は、ただアイツには可愛げを見せないだけ!!