王子様なんてキョーミナイシ





優しくて、人の変化に気付けて、私の気持ちを察してくれて…。


そんな、いいお母さんだけで私は幸せなのに、お母さんは、よく、『お父さんが居なくてゴメンね…』って謝ってくる。


お母さんは、悪くなんか無いのに。








「じゃ、ご飯にしましょ〜!今日はハンバーグよ」



「イエーイ!」



だから、私は今の生活で十分幸せ。

だから…これ以上の幸せも、これ以下の悲しみも、 何も欲しくない。






「おいしそー!!」



「でしょー?スーパーで買ったの」



「ふふっ。嘘よ!」






口に手を当てて笑うお母さんに、私も、笑った。




私は、この雰囲気が、一番大好きだった。
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