純真チョコレート ~乙女系バレンタインのススメ~
大きなハートの形の型に、溶けたチョコを流し込む。
元のチョコの味は、ミルクの効いた甘い感じ。
そこに雲母ちゃんの気持ちが加わったら……どんな味がするんだろう?
ほんとは欲しい。
ほんとは食べたい。
だけど……ボクは貰えない、世界一甘いチョコ。
ピンクのチョコペンで『すきです』と書く雲母ちゃん。
ちょっと緊張しすぎてブレてる文字も、ボクには可愛く見えるチョコ。
一生懸命な雲母ちゃん。
だからボクは応援しなくちゃ。
雲母ちゃんが好きだから。
雲母ちゃんの好きな相手だから。
きっと、きっとこのチョコも喜んで食べてもらえるに違いない。
「ねぇ、黎。
これで大丈夫かな?」
不安そうにボクに聞いてくる雲母ちゃんに、ボクは満面の笑みを返す。