純真チョコレート ~乙女系バレンタインのススメ~
ボクのやり方を必死に盗んで真似する雲母ちゃん。
ボクよりもちょっと不細工なラッピング。
でも一生懸命さが伝わって、ボクは大好き。
いいな、このチョコが貰える彼。
晃永くんが羨ましいな。
銀と赤の二本のリボンで結び、リボンの尻尾をクルリと捲きながらシールを貼った。
「ねぇ、黎のそれって誰にあげるのよ」
ボクの手元の小さな箱。
スカイブルーの包装紙でラッピングされた箱。
「あ……その……」
「そっか、そっか。
『本命チョコ』だ。
で、相手は?」
モジモジするボクよりも早く、雲母ちゃんの言葉の方が外へと飛び出してくる。
言えないよ。
雲母ちゃんのために作ったなんて、ボクには言えない。
だから――
「お父さん用……だよ」
息子から父へのバレンタインなんて……あり得ないけど、これしかない。