純真チョコレート ~乙女系バレンタインのススメ~
「ボク……ちょっと行ってくる」
「は? 何言ってんの!! って、どこに!?」
「晃永くんに……ボク、言いたいことあるから」
キュッと。
雲母ちゃんがボクの袖を引っ張った。
「やめなって!!
やられて終わっちゃう!!
黎じゃ、無理!!」
そう言う雲母ちゃんの言葉、分かるよ。
ボクは晃永くんみたいに筋肉ないし。
細いし。
弱いし。
きっとケンカしたらボコボコにやられちゃうと思う。
でも。
「ボク、負けないもの持ってるから」
ボクには負けないものがある。
晃永くんになくて、ボクにあるもの。
ボクは、これで勝負するんだ。
「黎!!」
ボクは雲母ちゃんの腕を振り切って走りだした。