純真チョコレート ~乙女系バレンタインのススメ~
窓の外。
落下していくチョコの箱。
ううん。
捨てられてしまった雲母ちゃんの想い。
それを守りたくて……
「お……おいっ!!」
後ろで晃永くんの声が聞こえたような気がした。
だけど、ボクの頭も視界もなんだか虚ろで。
その中で、ピンクのその包装紙だけが鮮やかにボクの目には映って。
ボクは手を伸ばしていた。
ただ落ちて行くチョコに向かって。
「黎――!!」
雲母ちゃんの声も聞こえたような気がしたけれど。
気のせいかな?
手を伸ばしても届かないのに、伸ばし続けるボクはきっと――とんでもなくバカなのかもしれない。
それでもボクの身体は自然に動いていたんだ。
ただ、雲母ちゃんの気持ちを守りたい。
その想いだけで――!!