純真チョコレート ~乙女系バレンタインのススメ~
乙女系のバレンタイン
身体がグラグラ揺れていた。
腕がちぎれそうなくらい痛いような……気がする。
でもはっきりしないのは、頭の中もグルグルしているから。
「黎!!」
飛び込んでくる声にぼんやりと顔を上げる。
「雲母ちゃん?」
怒ったような。
泣きだしそうな。
なんか、よく分からない複雑な顔をした雲母ちゃんがそこにいる。
「黎!! 絶対に……この手、離すな!!」
言われている意味が分からないけど。
雲母ちゃんはそう言って、近くにいるらしい人に大声で叫んでいた。
「ぼさっとしてないで!! あんたも手伝いなさいよ!!」
激怒した声。
その直後、雲母ちゃんの隣から晃永くんが顔を見せた。
ボクの身体がゆっくりと、上へと引っ張り上げられる。