純真チョコレート ~乙女系バレンタインのススメ~
「なんでこんなんなのに、いっつもチョコ貰えるの?
ふーしーぎー!!」
ボクの前で両手を組み、そこに顎を乗せて雲母ちゃんはボクを見つめる。
黒目の濃い強い瞳に、ボクの心臓がバクバク言い始める。
「でも……ボクのチョコの数なんて……雲母ちゃんに比べたら……」
しどろもどろになるボクに、雲母ちゃんは思いっきりため息をつく。
「そーこーがー問題だと、思わないの―?」
だって。
雲母ちゃん、男前だし。
かっこいいーって、学校中が騒ぐほどだし。
ボクよりケンカが強くて、ボクより5センチ身長高くて。
男子のボクから見ても、憧れるし。
「もうちょっとさ。
ビシッとできないの、ビシッと!!」
「うーん……無理……だと思う」
答えた瞬間、強烈なデコピンが飛んできて星が舞う。