純真チョコレート ~乙女系バレンタインのススメ~
「黎!! 大丈夫なの!!」
目覚めた途端に雲母ちゃんの声が鳴り響いた。
いつにもまして声が大きい……気がする。
「だいじょーぶ……だと思うよ」
ボクがゆっくりと起き上ると、雲母ちゃんはボロボロ泣き始めた。
「黎のバカ!! チョコって私のじゃない!!
なんであんなもののために飛び降りようとすんのよ!!
飛び降りなくても下から落ちたのを拾えばいいじゃない!!」
そう言って、雲母ちゃんは泣く。
うん。
そうなんだよね。
チョコなら。
チョコならきっとそうしたと思う。
でも、あれはチョコじゃないんだよ。
雲母ちゃんの想い。
雲母ちゃんの気持ち。
ボクが守ってあげたいのは、チョコじゃなくて雲母ちゃんのキラキラした想いだったんだ。
「うん。
でも、世界に一個しかない雲母ちゃんのチョコだもん」
そう言うボクに雲母ちゃんはまた「バカ」と言った。