純真チョコレート ～乙女系バレンタインのススメ～

「じゃ、どっちも貰う」

「そんなにチョコ好きだっけ？」

「今年は特別」


ボクは雲母ちゃんから2つ、チョコを受け取った。

好きな子からチョコを貰えるのはすごく素敵な事。

とっても嬉しい。

でも半分淋しい。

だって……ボクにくれたチョコは市販の包装紙だったんだ。

とっても高いブランドものだったけど。


「手作りのチョコ、食べてもいい？」


聞くボクに雲母ちゃんは照れくさそうに笑った。


「ダメだししないでよ」

「うん」


ゆっくり包装を解いて、ボクは箱を開ける。

砕けてしまったチョコ。

パッキリと2つに別れてしまったハートのチョコは。

ボクが守れなかった雲母ちゃんの気持ち、そのものだった。


「ごめんね」


ボクはその一つをとってかじる。

ちょっと固いチョコはポキッと音を立てて割れる。