純真チョコレート ~乙女系バレンタインのススメ~
「変な黎」
そんな雲母ちゃんにボクは小さく笑って見せる。
大好きだよ、雲母ちゃん。
だから、今はこの気持ち。
ボクはまだ内緒にしておくね。
ボクの前を歩く雲母ちゃんに見つからないように。
ボクはそっとゴミ箱の中にスカイブルーの包装紙の箱を捨てる。
コトン……小さな音を立てるゴミ箱に、ボクは小さく手を振った。
茜色の空を見上げ、ボクは彼女の背中を追いかける。
伸びる影だけがそっと寄り添うように並ぶ。
いつかこうなれますように――
ボクのこの願いが叶うのは……もっとずっと先のお話。
(END)