純真チョコレート ~乙女系バレンタインのススメ~
「なんで黎が男に生まれてきたのかな―。
私が男に生まれてくればよかったのになー」
そう言って雲母ちゃんは伸びをする。
黒いショートカットのサラサラの髪が揺れる。
っていうか、雲母ちゃん。
雲母ちゃんが男に生まれちゃったら、ボク困るよ。
だって、ボクも男の子だもん。
全然……頼りないし。
身体も強くないし。
声も、身長も小さい方けど。
一応、ついているものはついちゃってるし。
「明日のバレンタインは、いくつチョコくんだろうね?」
雲母ちゃんは困ったような顔をする。
「雲母ちゃんは……あげたい人とか……いないの?」
ボクの質問に、雲母ちゃんは首がもげそうなくらい傾かせて見せた。
「黎は?」
「え?」
「海外じゃ、男から女の人へが主流で。
日本だけだもんねー、女子のイベントになってんの。
だから、黎は?」