元彼の末路
 とうとう慎一郎の親戚一同が本家に集まる日。本家は自宅から車で一時間ほどかかり、一山越えた辺りにある。幸い慎一郎が笑顔の日で、凛花は安堵していた。ただ不安なことが一つある。それは、慎一郎の親戚の伯母さんで、一人だけ口うるさい人物がいるらしい。

『俺もむかつくんだよ、その伯母さん。いちいち何かしら自分の息子と俺を比べてケチつけてくるし。その息子は俺の従兄弟になるけれど、あまり仲良くはない。だから凛花も、もし何か云われても気にすることないからな』そう云っていた。

 もうすぐ車は山を下り終わる。凛花は随分辺鄙な場所だなと思っていると、慎一郎は片手でハンドルを握りながら、片手で右の方向を指差す。


「凛花、ほら、その道を右に入ると、ずっと一本道だからもうすぐ着くよ」


「随分辺鄙な場所にあるのね。コンビニとかなさそう」


 窓から流れる景色を見ながら凛花はつぶやく。


「確か少し離れた場所に、一軒コンビニが出来たって親父から聞いたぞ。まぁ俺も本家は滅多に行かないからな。誰かが結婚した時や、葬儀くらいしか集まらないんだ」


 そんな会話をしていると、本家らしい日本家屋が見えてきた。思ったよりも大きい家に、凛花は緊張してくる。
< 24 / 26 >

この作品をシェア

pagetop