元彼の末路
エピローグ
 凛花は目の前の光景が信じられなかった。

 嘘でしょ――。

 そこには、テーブルを囲むように座る親戚達。その中に、ママ大好き男の直道と、その母親、ミュージカル男の健児、泣き虫男の浩平、20円男の幸隆が勢揃いしていたのである。

 目を見開き固まった凛花をよそに、何も知らない慎一郎は親戚の伯父や伯母に挨拶を交わす。もちろん直道達は凛花を見て固まっている。

 どうしてここに、彼らが……。

 その答えは単純なものだった。

 口うるさいと云う慎一郎の伯母であり、亡くなった長男の嫁が直道の母親、そして息子の直道、次男の息子が幸隆、三男の息子が浩平、四男の息子が健児、五男の息子が慎一郎ということである。

 パニックになった凛花は、本家を無我夢中で飛び出した。車にも乗らず、土地勘もない、それ程までに驚いたのだった。


 丘の上に立つ凛花は、絶望――という言葉が頭に浮かんでいる。
 どうしてなの、どうしてよりによって今までの彼氏が全員慎一郎の親戚なの。

 こんな偶然って……。

 二十六歳になる凛花の運命は、十年も前から決められていたというのだろうか。




 ふと視線を感じて振り返った。
 すると、慎一郎は奇妙な笑みを浮かべ、私に視線を送っていた。

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