濡れない紫陽花
2. 帰り道
朝目覚めて、制服に袖を通すと、昨日まで一緒にいた美雨の匂い。
甘ったるい匂いが心地いい。
早く美雨に会いたくなって、今日も学校へ向かう。
そしてまた2人で手を繋いで帰るんだ。
幸せな日々は、そうやって永遠に回るものだと思った。
美雨を初めて見たときに感じた不安を恥ずかしく思う。
美雨は姿も綺麗なのに、性格にも欠点がない。
素直で、優しく、前向きで。
そんな完璧な美雨が彼女だ。
不満なんてない。
僕等はケンカひとつせず、毎日巡るなんでもない日々を特別な日々のように楽しんだ。