濡れない紫陽花
3. 梅雨入り
梅雨が、梅雨が、鳴る。
月日は6月にはいった。
毎日、しとしとだとか、ざぁざぁだとかと音を立てて雨が降る。
傘が手放せない毎日だった。
高校に着くと、美雨が気怠そうに机にふせっている。
最近はいつもこうだ。
美雨がすると、ふせっていても絵になる。
「おはよう」
ポンと、美雨の頭に手を置くと、美雨が僕の顔を見て笑顔になった。
「美雨、最近学校来るの早いね」
「うーん、なんだか眠れなくて」
「そうなの…?」
普段は天真爛漫な美雨だけに、眠れないと聞いて心配になる。
「でも、大丈夫!食欲とかちゃんとあるし」
「そう…でも最近毎日机にふせてるし…ムリ、しないでね」
「うん、ありがとう」
そう明るく勤める美雨が、余計に心を苦しめた。
(胸が、いたい)