濡れない紫陽花
「原因は?何か心当たりないの?」
怠さのおおもとを探ってみる。
「んー…思いつかないよ」
美雨の笑顔が、少し疲れて見えた。
担任の教師が入ってきて、授業が始まる。
教室の窓の外から、しとしとと、雨の音がしていた。
天気も悪いせいか、美雨を心配する気持ちが晴れない。
その日は少し蒸し暑く、休憩時間には怠そうな美雨を下敷きであおいであげた。
けれど美雨はすぐに
「大丈夫、ありがとう」
そう言って席を立つ。
もともと、放課後になれば2人きりで過ごす僕らだけど、休憩時間や授業ではそれほどベタベタしていない。
美雨は友達たちと教室を出て、しばらくして帰ってきて、遠巻きに見ていると、友達の前でも明るく勤めようとしているのがすぐに分かった。