濡れない紫陽花
 
今日は早退するのかもしれない。


2人で下校できないのは寂しいけれど、早退してくれたほうが安心だ。

少しほっとしたような気で、息をついた時だった。


保健室の壁越しに聞こえてきた言葉に、僕は耳を疑う。


















『先生、私、生理が来ないんです』

















それは、紛れもなく、美雨の声だった。

 
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