濡れない紫陽花
苦しみが、体を蝕んでいく。
初めて美雨に会ったときの苦しみは、美雨が消してくれた。
僕をすきだと言って。
今度は誰も、消してくれない。
苦しみを止めてくれない。
苦しい。苦しい。
怖い。怖い。
(助けて。)
誰にも、聞こえない。
僕は、走り出していた。
逃げなきゃいけないと、思った。
美雨の前から、逃げなきゃ。
責任、取れないんだって。
僕が言ってた。
だから、避けたんだって。
僕が言ってた。
(まるで他人事。ひどいね。)