濡れない紫陽花
 
部屋の窓の外で、雨が更に強さを増してる。

美雨はこんな雨の中で、傘も持たずに帰るんだろうか。





だけど、僕は迎えにいけない。

僕は君と違う。






とてもとても、醜かったんだ。










日が沈んで、眠れない夜が来た。

美雨はどうしたのか、気になった。

けれど僕が美雨を想っても、それは偽善でしかない。




高校から急に立ち去った僕を知って、全てを察したんだろうか。

携帯さえ、鳴らない。




眠れない夜、眠れない朝、眠れない夜。

僕はずっと、泣いていた。





醜くて女々しい僕を見たら、君は鼻で笑うだろうか。


(それとも、殺すだろうか)


 
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