濡れない紫陽花
数日間泣いて、涙が枯れた。
そろそろ高校へ行かなくちゃいけない。
放任主義の親でさえ、いい加減にしろと怒っている。
美雨にどんな顔で会えばいいかわからない。
あの綺麗な目で睨まれると思うと、また涙が出た。
しとしと、しとしと、小雨が降っている。
重たい足を引きずって、久しぶりの教室に入ると、クラスがざわめく。
そんなにあからさまな反応しなくたっていいじゃないか。
暗い気持ちで、席に着こうとすると、友達が数人駆け寄ってくる。
―「おい!いままでどうしてたんだよ」
―「携帯も通じないし」
携帯、そういえば、美雨と友達じゃ着信ランプが違う。
美雨は名前の雨の色から取って、青にしてたっけ。
青色以外のランプ、気にしてなかったな。
ぼんやりしながら、友達の話を聞いていた。