濡れない紫陽花
―「何があったんだよ」
―「2人して、行方不明だなんて」
(ぇ…?)
「2人って?!」
思わず、大声で相手の肩を掴んだ。
―「お、お前と美月だろっ!!なんだよ、一体」
「美月もいなくなったのか?!」
―「知らないのか?メールしただろ!俺等はてっきり一緒にいなくなったと思ってたけど…」
気付くと、来たばかりの教室をまた飛び出していた。
どうして。
僕が逃げたのを知って?
走り出した足が止まらない。
だけど、どこに向かえばいいのか分からない。
また、苦しくなる。
また、涙が出る。
(君はもっと、苦しかったよね。)