濡れない紫陽花
ごめんね。
ごめんね。
ごめんね。
結局僕は、その距離を歩けなかった。
美雨の家まで、たどり着けなかった。
泣きながら、自宅へ帰った。
泣き顔は、傘で隠した。
そして、1週間弱また泣いて、その後は気が狂ったように平然と高校へ通った。
まるで何の罪も犯していない、善人のように。
みんなが、僕を哀れんだ。
大切な人と離れて、辛いから1週間も休んだのだと勘違いしていた。
僕を慰めようと理由をこじつけて、何人かの女が僕の前に現れた。
決して愛せなかったけれど、その醜い心と、美雨には遠く及ばない顔が、まるで僕のようでいじらしかった。
そんな毎日の繰り返し。
(泥まみれだと、笑ってよ)
笑い声など、聞こえない日々を。