卒業まで



 「どうしたの、香川さん?」



椅子に座って ボーッとしている私に 先生もさすがに心配したようだ。



優しい声を掛けてくれた。



一瞬先生の顔を見て 鼻の奥が痛くなった...



[こんなに可愛かったら こんなに可愛らしい態度だったら]



その言葉が頭の中を駆け巡る。



「具合が悪いの?」



駄目だ。



もう我慢出来ない...






涙が溢れた。 止まらない。 バケツをひっくり返す程の涙。





[こんな可愛く無い子、全然タイプじゃない]



[昔は昔。今は違うんだ。もう好きじゃない]



頭の中で勝手に啓がそう言ってる風に シュミレーションされて 



余計に涙が止まらない。もうイヤだ。



「香川さん?!どうしたの?! 香川さん??」



みんなが遠くで食材を選んでいる。



楽しそうに、楽しそうに....





  その姿を最後に、私は目を閉じた。


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