【完】スマイリー☆症候群

「清水ー」


もう一度、先生はそう呼びかけた。

しかし、返されることのない声にポッカリと空いた虚しい席を見ると、彼は少し驚いた顔をした。

ある１人の生徒とはそう、私の良く知る人物“清水孝治”だったのだ。


「……何だ、今日は休みか。あいつが休みだなんて、珍しいな」


穴が開きそうな程清水の席をまじまじと見つめ、不思議そうに首を捻る先生。

……にしても、おかしい。

と言うか、絶対的に不自然なのよ！

白取先生は、清水の欠席を“珍しいな”なんて一言で済ましていたけれど、私にはただそれだけの言葉では済まされない程、清水が“休む”ということは異様な事態に思えて仕方がなかった。

だって、いくら高熱が出ようと、大怪我をしようと、一日も欠かすことなく学校に来ていた清水が、今日突然、何の前触れもなく休んだのよ？

……これは、明らかに異常事態だ。

まさか、何か危ないことにでも巻き込まれたんじゃ……？

それとも、もっと凄い理由が……？

少なくとも、これは私が今までに出会ったことのない、最大の事件であり難問だ。

これは何か裏があるなと確信した私は、ある１つの決心をした。

“放課後、清水の家に行こう！”